2019年12月31日(火)
犬の病気(泌尿器;異所性尿管)
尿漏れがひどく、排尿ポーズをとってばかりで、なかなか尿がでないんです。
と、10kgの雑種4歳メスのワンちゃんが来院されました。
外見上、陰部周りが尿漏れで、皮膚炎がひどく、超音波検査で、膀胱の入り口に左側から入り込む管腔構造があり、尿検査では、細菌性膀胱炎を患っていました。尿管、膀胱の位置関係が正常ではなく、雌犬なので尿道から膀胱まで、内視鏡で検査致しました。
尿道から、内視鏡を進めていくと、膀胱入り口手前に、左尿管開口部を確認しました。
この子は、異所性尿管という病気です。先天的な異常で、若いときにメスのワンちゃんに見つかる病気で、開口部を移転して直す手術を行えば、改善する見込みがあります。
この子は、手術をお勧めして、返答待ちですが、トイプードル、フレンチブルさんで手術を実施して、尿漏れがなくなり、経過良好な子がいます。ずっと、2匹ともおむつをして過ごしていました。今も時々通院されていますが、お尻はとてもきれいです。
以前は、尿道造影検査を行っていましたが、現在、雌の子は尿道、膀胱を見れる内視鏡があるので、7kg以上ぐらいの子には、尿道、膀胱の異常、奇形、腫瘍が直接確認でき確定診断を行いやすいので、とても便利です。
この内視鏡が入って5年ぐらいたちますが、尿道だけではなく、耳道、鼻腔内を検査できるので、診断、治療に役に立っています。腹腔鏡と共に地味に活躍中のアイテムですね。