2020年1月4日(土)
犬、猫の病気(泌尿器:尿管狭窄から急性腎不全に)
嘔吐、食欲不振、活力低下で来院した3才の猫ちゃんがいます。
血液検査で、CRE3,7,Bun58,6の腎臓機能低下、超音波検査で、左腎臓の腎盂拡張、水腎に陥っています。この子は、数ヶ月前に尿管結石除去手術を受けて、その部位の瘢痕、尿管狭窄が疑えました。超音波検査、尿管造影検査で、尿管狭窄を確認しました。尿管ステント挿入して、尿管を開通するか、狭窄部位を除去して尿管膀胱吻合手術を行うことを、飼い主さんに説明しました。了承を得て、緊急開腹手術で、この子の場合、ステント挿入はせず、狭窄部位よりも腎臓側で切断して、尿管膀胱吻合術を行ないました。
まず、左尿管を後腹膜腔内皮下脂肪から剥離して遊離し、尿管の先端をトリミングして、6-0マキソン吸収糸で漿膜2箇所指示します。膀胱の右側を切開し、尿管縫合予定部位に膀胱粘膜(内)側からモスキート鉗子先端を貫通して、指示したマキソン糸を粘膜側に引っ張って尿管先端を膀胱粘膜⁽内⁾側に通します。尿管先端に切れ込みを入れ、マキソンで尿管全層膀胱粘膜(内)を3箇所縫合し、膀胱漿膜(外)側から、2箇所縫合し、尿管を膀胱に固定します。漿膜(外)側の縫合を補強して、尿管からの尿漏れがないか確認して終了です。
縫合部位の癒合も問題なく、左尿管、腎臓の機能は正常に働いています。この子も急性腎不全を起こしていましたが、尿管閉塞を起こして、手術で改善するケースは多々見受けられます。腎不全でも、早くこのように対処できたら、改善する場合があるので、お早目に。このような場合でも排尿はありますので,安心なさらないように。
ちょこちゃんだー。
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そっくり。です。 チョコちゃん。
私自身も、この子と同じことを2回体験して、尿管ステント、手術も施してもらったこともあります。早期の診断が大切なことは、私自身が何度も体験しています。