2020年9月17日(木)
犬、猫の病気(腫瘍:腎臓のリンパ腫)
痩せてきて、食欲不振、元気がなくなってきたとのことで来院されたネコちゃんです。
腹部触診で腎臓腫大、脱水も認められたので、血液検査、腹部超音波検査を行いました。血液検査の結果は中程度の腎不全を認め、超音波検査では、左右腎臓腫大(正常の1.5倍)、一部構造の不整を確認しました。超音波検査から血液由来の腎臓腫瘍を検討する所見が認められたので、直接腎臓から細胞を採取する検査(細胞診)を、飼い主さんの了承の下で行いました。
超音波ガイド下で腎臓の細胞を採取し、顕微鏡で確認しました。
http://www.harue-vet.com/news/?p=1408
採取された細胞は、大型円形細胞=リンパ芽球が多く、細胞診からリンパ腫と診断しました。
治療はまず持続点滴で脱水を改善してから、リンパ腫に効果がある抗がん剤を注射し、腫瘍溶解(崩壊)症候群(*)を予防するため、その後も持続点滴を行いました。一般状態が改善し、しばらくして維持療法を行い、現在、良好な経過をとっています。
(*)「腫瘍崩壊症候群」とは、悪性腫瘍の治療時(リンパ腫、白血病等の抗がん剤投与の時)に、腫瘍が急速に死滅(崩 壊)するときに、体内の核酸、カリウム、カルシウム、リンなどが血液中に流れ出し、急性腎不全や電解質異常が起こる現象で、死に至るケースもあります。持続点滴等の十分な水分補給を行うと、予防できます。