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犬、猫の皮膚病(自己免疫疾患:落葉状 天疱瘡)

犬、猫の皮膚病の中に、天疱瘡という自己免疫疾患があります。

天疱瘡は、①皮膚の上皮(角化細胞)同士を接着しているタンパク質(デスモグレイン)に自己抗体が細胞間接着を直接障害して起こる、②細胞内シグナル伝達を介して細胞間接着が喪失(棘融解)して起こります。

その結果、天疱瘡は皮膚、口腔粘膜などに、水疱、糜爛、痂疲をつくります。

犬、猫の天疱瘡は、落葉状天疱瘡、尋常状天疱瘡、紅斑性天疱瘡、増殖性天疱瘡(腫瘍、薬剤)の病型に分かれています。

 

今回は、一番発生頻度が高い落葉状天疱瘡のワンちゃん、ねこちゃんを紹介いたします。

 

 

14歳ウェルシュコーギーのおばあちゃんです。

鼻の分泌物が増えて、鼻息が荒くなってきたということで受診されました。

かさぶた、糜爛を起こしている口唇、鼻腔内粘膜細を掻爬して細胞診を行いました。

顕微鏡で検査すると、変性していない好中球を多数確認、無菌に近いぐらいの細菌数しか存在しませんでした。その結果から、免疫介在性疾患の疑いがあるので、鼻腔粘膜、口唇部と、同様に潰瘍がある陰唇部からも組織を採取して、病理検査を行いました。

結果は天疱瘡群(落葉状天疱瘡)という診断でした。

免疫抑制剤、ステロイドは基礎疾患の治療中につき、服用していた為、一旦増量して、鼻のかさつき、陰部の潰瘍は改善されています。

 

1歳の雑種の女の子です。耳の傷があるで、受診されました。身体検査で、耳先、鼻先、爪根元に小痂疲がありました。細胞診では、少数の細胞しか採取できませんでしたが、変性していない好中球が散見されました。

経過を観察する為、組織検査を2週間後に予約しました。

2週間後に来院時のネコちゃんの患部は悪化して、痂疲の大きさ、数ともに増えていました。

組織検査を行う為、耳先、鼻先、指端部から材料を採取しました。

検査結果は、落葉状 天疱瘡でした。

免疫抑制剤、ステロイドで改善しました。

現在は、皮膚病変もなく、きれいです。

 

 

この子も落葉状天疱瘡です。

 

 

ネコちゃんも様々な皮膚病があります。

治らない場合は、お早めにご相談ください。