2024年7月15日(月)
犬の消化器疾患(胆嚢破裂)
他院に数日通院中だったが、様子が悪化していた為、急遽来院された14歳のトイプードルの女の子です。
5日前から食欲不振、嘔吐、活力低下で、前日夜から、息遣いが荒くなり、お部屋をうろうろしていてなかなか寝付けず、その数時間後ぐったりして、動けなくなったとのことで来院されました。来院時は、息遣いは荒く、横になったまま頻回嘔吐を繰り返していました。前日から排尿もなく、受診時は、体温低下、腹部に痛があり、苦しい様子でした。
ショック状態につき、静脈点滴開始して、血液検査、腹部超音波検査を実施しました。超音波検査中、腹部圧痛を訴えていました。
血液検査で、
BUN103.3mg/dl、CRE2.8mg/dl
GPT>1000U/l、ALP812U/l
腹部超音波検査で、
肝臓、胃周辺に液体貯留、臓器周辺の脂肪高エコー所見を確認。
胆嚢破裂による胆汁漏出性腹膜炎を併発し、腎不全等多臓器不全を起こしているため、開腹手術の必要性を飼い主様にお伝えし、合意を得て緊急手術を行いました。
数時間持続点滴を行った後、開腹手術を行いました。
術後3週間後のあられちゃん
開腹後、大量の胆汁漏出を確認し、腹部に貯留した液体を排出した後、胆嚢内容物を確認した為、とり出したところです。
胆嚢の中身を腹部から取り出し、残った胆嚢の袋を鉗子で保持しているところです。
その後胆嚢の基部を結紮しました。
胆嚢基部を結紮後、凝固メスで切断して胆嚢の袋を摘出しました。
術後の病理検査の結果です。
術後1週間は、お腹にドレーンを設置して洗浄を行い持続点滴、抗生物質の注射しました。その後、血液検査の腎機能も改善して術後3週間後の現在、食欲も戻り、とても元気です。