2019年8月21日(水)
肝皮膚症候群(犬の皮膚病:表層性壊死性皮膚炎)
2年前から皮膚全体がひどく荒れているとのことで来院されたわんちゃんです。お顔、四肢、尻尾にかさぶた、脱毛、糜爛で皮膚が赤くみえる部位が多く認められました。この子は、1年前から糖尿病を発症、超音波検査で葡萄みたいな結節を形成する肝臓を確認、血液検査で低アルブミン血症がありました。
表層性壊死皮膚炎という肝障害が原因で栄養(アミノ酸など)不足になり、四肢端、尻尾、鼻耳先等の血行が少ないところに病変ができる皮膚病があります。この子は皮膚生検検査を行いましたが、結果は肝皮膚症候群でした。
この子の肝疾患は肝細胞の空胞、グリコーゲン変性の可能性があり、治療法は栄養不足を補う食事療法と、インシュリンを注射して血糖値のコントロールを行なっています。
結果、この数ヶ月、かさぶた、糜爛はなくなり、まだ薄いですが少し発毛が見られ、手足を舐めないようになり、毎日装着していたエリザベスカラーをつけずに過ごせるとのお話です。この病気は改善が難しい病気ですが、この子の場合は、飼い主さんが頑張って治療に取り組まれた結果、産毛みたいな体毛がでて、皮膚の赤みがなくなってよかったです。この前も、1年間皮膚病でエリザベスカラーをつけ続けているワンチャンを見かけましたが、1日でも早くカラーがない生活を送らせてあげたいです。
肝皮膚症候群のわんちゃんを診察して、肝臓癌を見つけるケースもあります。皮膚病から内臓が悪いことを見つける病気は他にもありますので、治療しても改善ない場合は、お早めにご相談ください。