2019年9月22日(日)
猫の病気(猫の腫瘍:脾臓の肥満細胞腫)
ネコの肥満細胞腫ってご存知でしょうか?
ご存知の方もいらっしゃいますが、ほとんどの飼い主さんが、「やっぱり、うちの子ってぽっちゃりしてるからね!」と、期待通りの返事が帰ってきます。 では、肥満細胞腫とは、何でしょうか?
このネコちゃんは、今年17才、以前から便秘、心筋症で、通院中で、ここ最近嘔吐の回数が増えているとのことでした。
定期健診の超音波検査で脾臓という臓器が、数ヶ月で徐々に腫れているのが確認されました。飼い主さんに、脾臓の肥満細胞細胞腫等の血液由来の腫瘍の疑いがあり、このまま経過を見ていくか、年齢の割に体の状態がいいので脾臓摘出術、そして病理検査を行ない確定診断した後治療をしていくかお話をしたところ、手術を希望されました。
脾臓を摘出した結果は、初期の肥満細胞細胞腫でした。
肥満細胞腫は血液の細胞の腫瘍です。ネコちゃんは、皮膚特に顔、足先に多くできます。形は様々で、潰瘍かさぶたができて皮膚病と勘違いされて来院されたり、1mm満たさないような白いイボだったりと、多種多様です。皮膚にできた場合は進行しないケースが多いですが、内臓型という病態もあり、脾臓、肝臓、腸の内臓と、全身の皮膚に同時に多数発生する場合があります。
脾臓に発生したケース(内臓型)は進行して、貧血、黄疸、腹水等が起こり、死に至るケースがあります。生存期間は約1年ぐらいで、今回の子は、摘出してプレドニゾロンというステロイドを服用して半年以上経過していますが、再発、進行も無く、食欲もあり嘔吐の回数は減りました。
まだまだ元気で過ごせそうです。
このネコちゃんは今年17歳、2年ぶりの来院です。
首に2か所、左まぶた裏、他顔面に複数しこりがあり、細胞診の結果肥満細胞腫を確認して、腹部の精密検査で、脾臓に肥満細胞を多数確認しました。脾臓摘出+首2か所の自壊腫瘤を手術で摘出しました。病理結果は、首2か所腫瘤と、脾臓は肥満細胞腫でした。
現在、プレドニゾロンで治療中です。現在、経過は良好です。
この子は開業直後に猫のおもちゃ(確かネズミだったような)を飲み込んで腸閉塞を起こして手術した子です。
開業直後は、毎日このような緊急手術ばかりしていたような、、、、。避妊去勢手術が数か月全くなく、、、。
胃捻転の犬を2日で3頭手術したり、脾臓、肝臓腫瘍の破裂が続いたり、帝王切開が続いたり、
犬の尿石が詰まって尿道切開術が毎日続いたり、、、。
最後にもう1匹この子は脾臓が原発ではありませんが、、、
少し遠くから通院されているクロちゃんというネコちゃんがいます。
(複数のクロネコさんの中で写真の見分けがつかなくて、後日掲載いたします。)
( 追伸、実はクロちゃんはクロネコだと思い込んでいたら、先日検診にいらして、キジトラさんということを忘れておりました。この写真の子です。)
嘔吐が続き、痩せて、腎臓病の治療を受けていて、改善がないということで転院された子です。
腹部超音波検査で、腸間膜リンパ節が大きく、小腸の壁が肥厚していることを確認しました。
確定診断の為、腸間膜リンパ節、小腸の生検を開腹手術で行いました。
腸間膜リンパ節は肥満細胞腫の転移(原発は肝臓)、小腸は高分化型リンパ腫(抗体陽性を後日確認)でした。
高分化型リンパ腫は数年かけてゆっくり進行する病気で、ネコちゃんでは時々見かけます。(後日紹介いたします。)
プレドニゾロンというお薬で嘔吐が全くなくなり、今年15歳、とても元気です。
ネコちゃんの脾臓の肥満細胞腫の飼い主さんからお聞きするお話は、腎不全、FIPと診断されてということが多いです。
判明しづらい病気ではありますが、診断、治療が可能な病気です。あきらめずに。
次回はリンパ管拡張症、悪性組織球肉腫(肺)、好酸球性肉芽腫、扁平上皮癌、移行上皮癌等々です。