2019年10月25日(金)
犬、猫の病気(自己免疫疾患:関節リュウマチ)
べた足って、ご存知でしょうか?
関節リュウマチが進むと、四肢の末端が変形して(前肢は手根関節、後肢は、足根関節)手首、かかとが床について歩行することです。
関節リュウマチは、徐々に全身の関節組織を自己免疫が攻撃して破壊する膠原病の1種です。
症状は、発熱、食欲不振、動きが鈍い、複数の関節が侵されるので、ぎこちなく歩いたり、跛行(べたあし等々)を起こします。
診断方法は、四肢のレントゲン検査(びらん性、虫食い状等の関節破壊所見)、関節液検査、各種抗体検査(リュウマチ因子陽性率25〜75%、抗核抗体確定検査ではない。)、C反 応性タンパク質CRP(高値)などがあります。
この子は3年前のフィラリア予防で受診、診察台でベタ足(写真のような)を確認したので、レントゲン検査、血液検査(抗体検査、CRP)、関節液検査を行いました。
レントゲン検査で、前肢両第5指末節骨中節骨間脱臼、指節間関節構成骨の潰瘍、骨密度低下、血液検査でリュウマチ因子は陰性、抗核抗体検査は陽性、CRPは高値、左右手根関節液検査で採取された関節液は薄く褐色で、粘稠性が低く、有核細胞数の増加で大部分は変性していない好中球がみとめられ(細菌感染があると、変性する。)、培養試験で菌の発育は認められません(無菌→自己免疫による炎症の疑い)でした。関節液結果から、自己免疫の異常が起こした関節炎の可能性が考えられました。抗核抗体陽性は、SLE(全身性エリトマドーシス)という病気も、検討しなければならないですが、SLEは関節炎で関節の破壊はなく、この子みたいに脱臼をおこすことははとんどありません。
以上のことから、関節リュウマチと診断、免疫抑制剤、ステロイド、抗リュウマチ剤が関節リュウマチの主な治療法ですが、この子はシクロスポリンという免疫抑制剤と、プレドニゾロンというステロイド剤で3年近く治療を行い、四肢の変形の進行を抑えて、今でもしっかり元気よく走っています。
ダックス、コーギー、シーズ、プードル等々が好発犬種です。
定期健診とか、意外に別の診察とかで、見つけやすい病気の一つです。症状が進んでいないと内服で、良好な経過を得れますのでお早めに。